角膜内皮移植 【拒絶反応が少ない?】
角膜内皮移植DSAEK・DMEK最新情報 | 安心手術ガイド
DSAEK・DMEK

DSAEK(ディーセック)とDMEK(ディーメック)

概要

角膜の透明度は「角膜内皮細胞」によって維持されています。
角膜内皮細胞の機能が低下すると、角膜がむくみ「水疱性角膜症」を発症します。
水疱性角膜症は、角膜内皮細胞を移植する「DSAEK」または「DMEK」によって治療できます。
DSAEK は角膜実質を含む組織を移植する方法です。
手術操作が比較的容易ですが、術後の視力はDMEKよりも劣ります。
DMEK は角膜実質を含まない移植方法です。
高度な技術が求められますが、術後の視力はDSAEKよりも優れています。
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角膜(かくまく)とは

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「角膜」とは、目の表面にある透明な組織です。
目は「黒目」と「白目」がありますが、角膜は「黒目」の部分にあたります。
また、角膜は光を目の中に取り込む重要な役割を担っています。
角膜

角膜内皮(かくまくないひ)とは

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角膜は5層の構造を持ちます。
「角膜内皮層」は、角膜の最も内側に位置します。
角膜内皮層には、「角膜内皮細胞」と呼ばれる六角形の細胞が密に並んでいます。
角膜内皮細胞は、角膜の「水分」を調節する重要な役割を担っています。
正常な状態では、1mm² あたり2500~3000個の角膜内皮細胞が存在します。
しかし、角膜内皮細胞は損傷すると再生することができません。
角膜内皮とは 角膜内皮細胞

水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)

水疱性角膜症とは

角膜内皮細胞が1000個/mm² 以下になると、角膜がむくんで視界がぼやけることがあります。
これが「水疱性角膜症」です。

正常の角膜

水疱性角膜症

白く濁った角膜

水疱性角膜症の症状

視力の低下

視界がかすみます。
特に朝起きたときに症状が強くなることがあります。

眼の痛みや違和感

角膜の表面に水疱ができると、異物感や痛みを感じることがあります。

まぶしさ

強い光の下で、まぶしさを感じることがあります。

眼の充血

炎症が起こると、目が充血することがあります。

涙の増加

痛みによって、涙が過剰に分泌されることがあります。

角膜内皮細胞が減る原因

加齢

角膜内皮細胞は、加齢とともに毎年約 0.6% ずつ減少します¹⁾
ただし、加齢だけが原因で水疱性角膜症になることはありません。

引用 1) Central corneal endothelial cell changes over a ten-year period.
Bourne et al. Investigative Ophthalmology & Visual Science March 1997, Vol.38, 779-782.

白内障手術

白内障手術では、超音波を使用します。
超音波によって角膜内皮細胞が傷つくことがあります。

フックス角膜内皮ジストロフィ

「フックス角膜内皮ジストロフィ」は、角膜内皮細胞が減少する病気です。

日本人の0.1% がフックス角膜内皮ジストロフィです。1,2)

フックス角膜内皮ジストロフィは、自覚症状がほとんどありませんが、
進行すると水疱性角膜症を発症することがあります。

引用 1) https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/17282
2) https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/h26-1-072.pdf

落屑症候群(らくせつしょうこうぐん)

「落屑症候群」とは、目の中のレンズ「水晶体」に白いふけのようなものがたまる病気です。
角膜内皮細胞が減ったり、緑内障を発症することがあります。

コンタクトレンズをつけたまま寝る

コンタクトレンズを装着したまま眠ると、角膜の酸素が不足し、角膜内皮細胞が減少する可能性があります。

レーザー虹彩切開術

急性緑内障発作を予防するため、レーザーで虹彩に小さな穴を開ける治療を行うことがあります。
この治療によって、まれに水疱性角膜症を発症することがあります。

ウイルス感染

サイトメガロウイルスなどの一部のウイルスは、角膜内皮細胞に炎症を引き起こすことがあります。

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水疱性角膜症は自然に治ることはある?
目薬で治る?
放置するとどうなる?
失明はする?

水疱性角膜症は自然に治ることはなく、目薬による治療効果も限定的です。
放置すると角膜が混濁し、視界が悪化します。

混濁が進行すると、手術後も視力の回復が困難になることがあります。
そのため、早期に角膜移植の専門医に相談することが重要です。

重症化すると失明に至る可能性もあります。

DSAEK(ディーセック)
DMEK(ディーメック)について

point

「DSAEK」と「DMEK」は、水疱性角膜症に対する移植手術です。
痛んだ角膜内皮細胞を取り除き、新しい細胞を移植します。

角膜全層を移植する全層角膜移植 (PKP) と比較して、視力の改善が期待できるほか、拒絶反応や感染症のリスクが低いといったメリットがあります。

角膜移植についてはこちら
DSAEKは角膜内皮細胞・デスメ膜・角膜実質の一部を移植する手術です。
DMEKは角膜内皮細胞・デスメ膜のみを移植します。
DMEKは高度な技術を要しますが、手術後の視力の質はDSAEKよりも優れています。
DSAEK・DMEKについて DSAEK・DMEKについて

DSAEK(ディーセック)

特徴

DSAEK (Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty) は、
角膜内皮細胞、デスメ膜、角膜実質の一部を移植する手術です。

移植片には、ヒトのドナー角膜を使用します。

DSAEKの手術手技

損傷した角膜内皮細胞を取り除きます。

術前
術後

目の中に移植片を挿入します。

角膜実質を含んだ移植片

移植片の下に空気を注入し、角膜へ密着させます。

空気によって接着している移植片

point

メリット

全層角膜移植 (PKP) よりも高い視力が期待でき、拒絶反応や感染症のリスクも低減します。
DMEKよりも移植片に厚みがあるため、取り扱いやすく、術者間のスキルの差が出にくい手術です。
角膜の濁りが強くても手術が可能であり、重度の水疱性角膜症の方に適した手術です。

DSAEKのデメリット 失敗・後悔しないために知っておくべきこと

手術後は仰向けで安静にする必要があります。 (移植片をガスで固定するため)

移植片に余分な角膜実質が含まれるため、手術後の視力はDMEKよりも劣る傾向があります。

DSAEKの余分な角膜実質

角膜実質 角膜内皮細胞

DSAEKは余分な角膜実質も移植されるため、手術後の視力はDMEKよりもやや劣る傾向があります。

DMEK(ディーメック)

特徴

DMEKは角膜内皮細胞とデスメ膜のみを移植する手術です。

DSAEKとは異なり、余分な角膜実質を含みません。

DMEKの手術手技

損傷した角膜内皮細胞を取り除きます。

損傷した角膜内皮細胞
角膜実質

目の中に移植片を挿入します。

角膜実質を含まない移植片

空気を注入して、移植片を角膜に接着させます。

空気によって接着している移植片
角膜実質

DMEKでは余分な角膜実質は移植されません

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メリット

余分な角膜実質を含まないため、DSAEKよりも高い視力が期待できます。
手術から5年後の視力は、DSAEKでは0.7程度 (log MAR 0.13) 、
DMEKでは0.9~1.0程度 (log MAR 0.01) であったと報告されています。1)
手術後も高い視力を維持したい方におすすめの手術です。

引用 1) Comparison of Long-Term Outcomes of DSEK and DMEK in Fuchs
Endothelial Dystrophy Fu et al. Cornea. 2024 Feb 1;43(2):184-189.

DMEKのデメリット 失敗・後悔しないために知っておくべきこと

DSAEKと同様、手術後は仰向けで安静にする必要があります。
(ガスを上方の角膜に接着させるため)

DMEKの移植片は薄く脆弱なため、手術には高度な技術が求められます。

DMEKは海外では広く普及していますが、日本では実施できる術者が少ないのが現状です。

当院は、DMEKを提供できる数少ない施設の一つです。

DMEKは日々進化している

point

DMEKはDSAEKよりも高度な技術が求められる手術です。
術後の視力をより良好に維持するため、手術手技の改良が進められています。

ここでは、当院の医師が開発した2つの手技をご紹介いたします。

ダブルバブルテクニック

DMEKの移植片は非常に薄いため、眼内に挿入すると「筒状」に丸まってしまいます。
ダブルバブルテクニックは、この丸まった移植片を効率よく広げるための方法です。1,2)

移植片を挿入します。

挿入された移植片は、筒状に丸まってしまいます。

挿入された移植片

移植片の上に空気を注入します。

空気の力で、丸まった移植片を広げます。

空気の入った移植片

移植片の下に空気を注入します。

空気の力で移植片を密着させます。
移植片の上にあった空気は、移植片の下へと移動します。

下へと移動した移植片

上にあった空気は押し出されて
下の空気と合流します

引用 1) Double-Bubble Technique in Descemet Membrane Endothelial
Keratoplasty for Vitrectomized Eyes: A Case Series
Hayashi et al. Cornea. 2018 Sep;37(9):1185-1188.

2) Double-Bubble Technique Assisted by Holding Forceps: A Modified
Technique in Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty for
Vitrectomized Eyes With Scleral Fixated Intraocular Lens
Igarashi and Hayashi et al.

開発者

林 孝彦
きくな湯田眼科

眼科医

林 孝彦 Takahiko Hayashi

はやし たかひこ

所属

日本大学眼科Nihon University

診療教授

角膜移植学会

理事

きくな湯田眼科

角膜外来主任医師

移植片をやや上方に固定する

移植片を角膜の中央よりもやや上方に固定すると、角膜内皮細胞の生存率が向上します。1)

手術半年後の細胞数の表

手術半年後の細胞数

上方固定でないもの
1285個/mm²

1.34倍

上方に固定したもの
1725個/mm²

引用 1) Effect of Graft Shift Direction on Graft Detachment and
Endothelial Cell Survival After Descemet Membrane Endothelial
Keratoplasty
Yuda et al. Cornea. 2019 Aug;38(8):970-975.

開発者

解説医師

湯田 健太郎

院長

湯田 健太郎 Kentaro Yuda

ゆだ けんたろう

所属

きくな湯田眼科

院長

センター北しみずアイクリニック

理事

妙蓮寺眼科

非常勤

DMEKの移植片は何年もつ?

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移植された角膜内皮細胞は、1年で約40% 脱落します。
1年を過ぎると、脱落の速度は緩やかになります。

手術後5年以内に、約9% の患者が再移植を受けたと報告されています。1)

引用 1) Five-Year Graft Survival and Clinical Outcomes of 500 Consecutive Cases After
Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty
Birbal et al. Cornea. 2020 Mar;39(3):290-297.

水疱性角膜症の手術を検討されている方は、
当院へご相談ください。

執刀医について

林 孝彦
きくな湯田眼科

眼科医

林 孝彦 Takahiko Hayashi

はやし たかひこ

所属

日本大学眼科Nihon University

診療教授

角膜移植学会

理事

きくな湯田眼科

角膜外来主任医師

林孝彦医師は角膜移植のスペシャリストであり、角膜内皮移植術DMEKやケアーズを得意としています。

優れた研究者のみが受けることができるフルブライト奨学金を取得後、ドイツ ケルン大学に留学して最先端の角膜治療を学びました。帰国後は日本角膜移植学会の理事に就任、日本での角膜移植の普及に尽力しています。

角膜移植の年間症例数は140件、通算1000例以上。

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「国民のための名医ランキング2024~2026年度版
いざという時の頼れる医師ガイド全国名医1020人厳選」に選出されました。
クリンタルの「東京都の名医」64人にも選ばれています。
清水 俊輝

眼科医

清水 俊輝 Toshiki Shimizu

しみず としき

所属

センター北しみずアイクリニック

院長

きくな湯田眼科

非常勤医師

日本大学

兼任講師

清水俊輝医師は角膜移植・白内障手術・小児近視治療を専門にしています。
これまで横浜市立大学と日本大学で角膜外来を10年以上にわたり支えてきました。

研究分野においては、世界で初めて角膜移植におけるエクソソームの役割を明らかにし、国内外から高い評価を得ています。