
眼科医
林 孝彦 Takahiko Hayashi
はやし たかひこ
日本大学眼科Nihon University
診療教授
角膜移植学会
理事
きくな湯田眼科
角膜外来主任医師
円錐角膜治療・角膜移植
円錐角膜
基本情報
角膜とは目の表面にある透明な組織です。
目の中には体液が流れており、角膜は常に体液から圧力を受けています。
正常な角膜では問題ありませんが、角膜のコラーゲンが弱くなると圧力に耐えられず、前方に突出して歪んでしまいます。
これが「円錐角膜」です。
角膜が歪むと乱視が強くなり、視力が低下します。
軽度であればメガネやソフトコンタクトレンズで矯正できますが、中等度以上の円錐角膜ではハードコンタクトレンズでの矯正が必要になります。
10代で発症し、30~40歳まで進行します。
個人差が大きく、30歳で進行が止まる人もいれば、40歳を過ぎても進行する人もいます。
早期に治療を行うことで、進行を遅らせることができます。
海外の臨床研究では、1.9% が円錐角膜、24.7% が円錐角膜の疑いがあると報告されています。1)
日本の1980年ごろの報告では、10万人あたり男性12.1人、女性5.6人が円錐角膜と診断されていました。
発症率はおよそ1万人に1人程度です。2)
ただし、当時の検査機器は不十分であったため、軽度の円錐角膜は含まれていない可能性があります。
最近の報告では0.9% 、つまり約100人に1人が円錐角膜を有しているとの報告もあります。3)
軽度の円錐角膜は、角膜形状解析装置を用いなければ診断が難しく、眼科を受診しても見過ごされることがあります。
引用
1) Prevalence of subclinical keratoconus and impact on adults undergoing routine, uncomplicated age-related cataract extraction.
Tran et al. Front Ophthalmol (Lausanne). 2023 Sep 20:3:1269439.
2) Estimation of patient visit rate and incidence of keratoconus in the 23 wards of Tokyo
Ota et al. Nippon Ganka Gakkai Zasshi. 2002 Jun;106(6):365-72.
3) メニコン社 HP news/vol681
円錐角膜によって光を感じなくなることは稀です。
ただし、放置すると角膜のむくみや濁りが進行し、最終的に失明に至る可能性があります。
(失明とは、WHOの定義では「良い方の目の視力が0.05未満」とされています。)
初期の円錐角膜の診断には、角膜形状解析装置が不可欠です。
視界のぼやけ、まぶしさ、二重に見える、物がダブって見えるなどの症状が現れます。
角膜の透明度が低下し、さらに視界が悪化します。また、角膜に傷ができることで痛みを伴うことがあります。
見えづらさや痛みにより、精神的なストレスを感じることもあります。
原因として、アトピー性皮膚炎、遺伝的要因、目をこする習慣、アレルギー体質などが挙げられます。
円錐角膜
治療
紫外線を用いて角膜を強化する治療法です。
角膜に紫外線を照射することで角膜の強度を向上させる治療法です。紫外線の吸収を良くするため、照射前にリボフラビン (ビタミンB2) の点眼を行います。
紫外線によって角膜内のコラーゲン繊維が架橋結合 (クロスリンク) し、角膜が硬化します。この結合により、角膜のゆがみの進行が止まり、突出の抑制にも効果があります。
2003年にSeilerらによって開発された治療法で、現在では世界中で多く行われています。1)
| 視力の改善 | 進行予防効果 | 対象となる病期 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| △ | ◎ | 初期~中期 | 10~40歳 |
メガネやソフトコンタクトレンズで治せない角膜のゆがみを矯正することができます。
進行予防効果はありません。
ソフトコンタクトレンズは角膜のゆがみを矯正することができませんが、ハードコンタクトレンズは角膜のゆがみを矯正し、視力を改善することができます。
| 視力の改善 | 進行予防効果 | 対象となる病期 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| ○ | × | 全て | 全て |
ハードコンタクトレンズが
などの症状がある場合は、
当院へご相談ください。
リングを角膜に埋め込むことで、角膜の歪みを矯正します。
角膜のゆがみを矯正するために、半弧状のプレートを角膜内に埋め込む手術です。
角膜内リングは人工物であり、目に適合しない場合、
角膜が溶解してリングの一部が角膜の外に露出することがあります。
角膜のゆがみを矯正する効果はありますが、疾患の進行を抑えることはできません。
高齢の方では進行を抑制する可能性があるとの報告もありますが、若年層では角膜内リングを挿入しても病気が進行することが確認されています。1-3)
進行中の疾患、特に若年層の方には、角膜クロスリンキングを併用して進行を抑制することが推奨されます。
円錐角膜が進行すると、角膜は薄くなります。角膜が薄い状態でリングを挿入すると、リングが露出する危険性があります。4)
また、角膜に濁りがある場合、リングの挿入によって病状が悪化する恐れがあります。
目にゴロゴロとした違和感を覚えたり、異物が入っているような感覚が生じることがあります。
感染症、角膜混濁、物が二重に見える (複視) などの症状が現れることがあります。
引用
1) Keratoconus progression after intrastromal corneal ring segment implantation in young patients: Five-year follow-up.
Vega-Estrada et al. J Cataract Refract Surg. 2015 Jun;41(6):1145-52.
2) Evaluation of keratoconus progression and visual improvement after intrastromal corneal ring segments implantation: A retrospective study.
Moscovicietal.EurJ Ophthalmol. 2021 Nov;31(6):3483-3489.
3) Keratoconus progression after intrastromal corneal ring segment implantation according to age: 5-year follow-up cohort study.
Araujo et al. Int Ophthalmol. 2020 Nov;40(11):2847-2854.
4) Complications and ExplantationReasons in Intracorneal Ring Segments (ICRS) Implantation: A Systematic Review
Bautista-Llamas et al. J Refract Surg. 2019 Nov 1;35(11):740-747.
| 視力の改善 | 進行予防効果 | 対象となる病期 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| ○ | △ | 中期 | 全て |
ヒト角膜由来のリングによる治療
ヒト角膜由来のリングを角膜に埋め込み、角膜のゆがみを矯正します。
角膜内リング (ICRS) は、アクリル樹脂製のリングを角膜に埋め込む治療法です。
一方、ケアーズ (CAIRS) は、ヒト角膜由来のリングを角膜に埋め込む治療法です。
角膜のなじみが悪い場合がある
角膜のなじみがよい
角膜内リングと同様に、角膜のゆがみを矯正し、視力を改善します。
ヒト由来の組織を使用しているため、角膜になじみやすいのが特徴です。
そのため、角膜の溶解やリングの飛び出しが発生しません。
現時点では、円錐角膜の進行を抑える効果は確認されていません。
角膜内リング (ICRS) も円錐角膜の進行を抑える効果が乏しいことから、ケアーズにも同様の傾向があると考えられます。
そのため、病気が進行している方は角膜クロスリンキングを併用することで進行を抑制する必要があります。
ケアーズは角膜移植の一種です。
ただし、ドナー由来の細胞は冷凍処理により機能が停止し、免疫応答の原因が取り除かれているため、拒絶反応が起こりません。
ヒト角膜リングには殺菌処理が施されていますが、それでも感染のリスクが完全にゼロになるわけではありません。
手術後は、角膜専門医による適切なフォローが必要です。
| 視力の改善 | 進行予防効果 | 対象となる病期 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| ◎ | △ | 中期 | 全て |
コンタクトレンズやケアーズで視力の改善が得られない場合、角膜移植を行います。

| 視力の改善 | 進行予防効果 | 対象となる病期 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| ◎ | ◎ | 中期~末期 | 全て |
円錐角膜
その他
ケアーズは海外では広く普及していますが、日本では執刀できる医師は数人しかいません。
特殊コンタクトレンズ、角膜クロスリンキング、ケアーズ、角膜移植など、円錐角膜治療のすべてに対応しております。
すべての患者様に最適な治療をご提供できます。
全層角膜移植術 (PKP) だけでなく、角膜移植術で難しいとされている深層角膜移植術 (DALK) も行うことができます。
DALKはPKPよりも拒絶反応が少ない優れた術式です。
角膜を専門とする医師が複数在籍しており、円錐角膜だけでなく、水疱性角膜症や角膜ジストロフィーなど、さまざまな角膜疾患の治療を行っています。
また、日本大学および横浜市立大学とも相互に提携を行っています。
最先端の円錐角膜治療を
ご希望の方は、ぜひ当院へご相談ください。

眼科医
林 孝彦 Takahiko Hayashi
はやし たかひこ
日本大学眼科Nihon University
診療教授
角膜移植学会
理事
きくな湯田眼科
角膜外来主任医師
林孝彦医師は角膜移植のスペシャリストであり、角膜内皮移植術DMEKやケアーズを得意としています。
優れた研究者のみが受けることができるドイツ連邦政府が主催するアレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学金を取得後、ドイツ・ケルン大学に留学して最先端の角膜治療を学びました。
帰国後は日本角膜移植学会の理事に就任、日本での角膜移植の普及に尽力しています。
角膜移植の年間症例数は140件、通算1000例以上。

センター北しみずアイクリニック
院長
きくな湯田眼科
非常勤医師
日本大学
兼任講師
円錐角膜、角膜移植、白内障手術、近視治療を専門としています。
横浜市立大学および日本大学で角膜外来を担当していました。
角膜クロスリンキングをはじめ、さまざまな円錐角膜治療に対応できます。
研究分野では、世界で初めて角膜移植におけるエクソソームの役割を明らかにし、この成果は国内外で高く評価されています。
また、角膜内皮移植術に関する新しい手術手技の開発にも携わり、眼科手術学会では角膜内皮移植手術のインストラクターとして実技指導も行っています。
| 片眼 | 両眼 | |
|---|---|---|
| 角膜クロスリンキング | ¥165,000 (税込) | ¥297,000 (税込) |
| ケアーズ(CAIRS) |
¥200,000 前後
※リングのサイズや挿入範囲によって、 |
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| ケアーズ(CAIRS) +角膜クロスリンキング |
ケアーズの手術費用 + ¥77,000 (税込)
(角膜クロスリンキング費用として) |
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