クラレオン パンオプティクスは、アクリソフ パンオプティクスを改良したレンズ
クラレオン パンオプティクスは、約40cm の手元、60cm の中間距離、そして遠くの景色まで、眼鏡に頼らずに見ることができる「3焦点」の眼内レンズです。
従来のパンオプティクスには、「アクリソフ(AcrySof)」という素材が使われていましたが、時間の経過とともに「グリスニング」と呼ばれる細かな濁りがレンズ内に生じることがありました。
グリスニングとは、レンズ内部に微細な水滴が発生し、それが光を乱すことで、にじみやぼやけの原因となる現象です。
2023年からは、アルコン社の新素材「クラレオン(Clareon)」が採用され、「クラレオン パンオプティクス」として提供されています。
このクラレオン素材ではグリスニングの発生が大幅に抑えられており、手術直後はもちろん、数年後でも透明感のあるクリアな見え方を保ちやすくなっています。
素材の改良によって、レンズの濁りが起こりにくくなり、鮮明で安定した視界を長期間にわたって期待できるようになりました。
「クラレオン パンオプティクス」のみを採用しており、
「アクリソフ パンオプティクス」は使用しておりません。
多焦点眼内レンズには主に3つのタイプがあります。
それは、「回折型」「屈折型」「焦点深度拡張型」です。
これらの中で、手元の見えやすさに関しては「回折型」が最も優れているとされています。
クラレオン パンオプティクスは、手元の見え方に特に優れた「回折型」の3焦点眼内レンズです。
回折型レンズは、さらに2つの焦点を持つ「2焦点レンズ」と、3つの焦点を持つ「3焦点レンズ」に分けられます。
従来の2焦点レンズでは、「近く」と「遠く」は見えるものの、中間距離(約60cm)が見えにくいという課題がありました。
これに対し、3焦点レンズは中間距離にも焦点が追加されているため、より自然で快適な見え方を実現します。
特に60cm という距離は、パソコン作業や読書などのデスクワークでよく使われる距離ですので、こうした作業が多い方にとって非常に適したレンズ設計となっています。
上述の通り、クラレオン パンオプティクスは「クラレオン」という新しい素材に変更されています。
これによりレンズの濁りが抑えられ、長期間に高い視力を維持することができるようになりました。
多焦点眼内レンズには、「選定療養制度」の対象となるレンズと、対象外のレンズがあります。
「選定療養制度」の対象があるレンズを選択した場合、手術にかかる費用のうち、手術そのものの費用については健康保険が適用されます。
そのため、通常の白内障手術と同様に、3割(または1~2割)の自己負担で受けることが可能です。
ただし、多焦点眼内レンズ自体の費用は健康保険の適用外となるため、レンズ代は別途自己負担が必要です。
それでも、すべて自費となる「自由診療」と比べると、患者さんのご負担を大きく軽減することができます。
コントラスト感度の低下がみられることがあります。
回折型の多焦点眼内レンズを使用すると、明るさの微妙な差を識別する力、いわゆる「コントラスト感度」がわずかに低下することがあります。
これは、見え方の"質"に影響する要素であり、白内障以外に緑内障など、目の病気がない健康な目であれば、ほとんどの場合は日常生活に支障はありません。
しかし、まれに、夜間や薄暗い場所で「ぼやけて見える」「はっきりしない」といった見えづらさを強く感じる方がいます。
このような場合には、眼内レンズを他のタイプに交換する手術が必要になることがあります。
コントラスト感度をより重視される方には、「焦点深度拡張型(EDOF)」の眼内レンズをお勧めしています。
このタイプはコントラスト感度が比較的保たれやすいのが特徴ですが、その一方で、手元の見え方(近くを見る力)は回折型の多焦点レンズと比べてやや劣ることがあります。
万が一、多焦点眼内レンズが目に合わなかった場合には、
レンズ費用をご返金のうえ、適切な眼内レンズへの交換を行っています。
十分な経験と確かな実績があるからこそ可能な、安心の返金保証制度です。
クラレオン パンオプティクスは、光学的に工夫された設計により、ハロー(光の輪)やグレア(まぶしさ)といった光の症状が比較的少ないレンズとされています。
しかし、感じ方には個人差があり、夜間の運転時や暗所での強い光を見た際などに、光のにじみやまぶしさを強く意識する場合もあります。
特に夜間の視認性を重視される方は、この点を考慮することが大切です。
ほとんどの方は、時間の経過とともに脳が見え方に慣れてくるため、日常生活に支障は出ないケースが多いですが、ご不安な点があれば事前にご相談ください。
単焦点眼内レンズおよび保険適用のある多焦点眼内レンズを使用する場合、レンズ費用はかかりません。
これらは健康保険の範囲内で手術が行われるため、患者さんの自己負担は通常の手術費用のみです。
一方で、当院で採用しているクラレオン パンオプティクスは、「選定療養制度」の対象となっているため、手術そのものは健康保険で受けられますが、レンズ費用は別途自己負担となります。
保険適用のある多焦点眼内レンズにも対応しております。
このレンズを使用する場合、レンズ費用はかからず、
健康保険の範囲内で手術を受けることができます。
クラレオン パンオプティクスを含む多焦点眼内レンズには、1m前後の距離で、わずかにピントが合いにくい傾向があります。
この現象はパンオプティクス特有のものではなく、他の多焦点眼内レンズにも共通してみられる特性です。
この距離での見え方をより重視される方には、中間距離の視認性が強化された「5焦点眼内レンズ(インテンシティ)」をお勧めしております。
より多くの距離に焦点を合わせられるため、中間から近方までの見え方にこだわりたい方に適しています。
クラレオン パンオプティクスに加え、
5焦点眼内レンズ「インテンシティ」にも対応しております。
中間距離(約1m)での視力をよりクリアにしたい方や、
幅広い距離での見え方を重視される方に適した選択肢です。
クラレオン パンオプティクスは、多くの患者様から高い評価をいただいています。
実際、ほとんどの方がメガネに頼らずに快適な日常生活を送れているという結果が報告されています。
ハロー・グレア(光のにじみやまぶしさ)については、わずかに感じる方もいらっしゃいますが、これまでのところ日常生活に支障があったという報告はほとんどありません。
また、見え方の質については、特に若い世代の患者様ほど順応が早く、満足度が高い傾向にあります。
これは多焦点眼内レンズ特有の見え方に対する脳の適応が、若い方ほどスムーズに進むためと考えられています。
一方で、見えづらさを理由に単焦点レンズへの交換が必要になったケースも数件ございます。
多焦点眼内レンズによる白内障手術をご検討の方は、レンズの特性やメリット・デメリットを十分に理解したうえで、ご自身に合った選択をされることをおすすめします。
| 評価軸 | 評価 |
|---|---|
| 見え方の自然さ | 非常に高い |
| コントラスト感度 | 単焦点と同程度 |
| ハロー・グレア | ほぼない |
| 近方視力 | メガネは必要 |
| 中間視力 | 裸眼で快適な距離が広い |
3焦点眼内レンズには、当院で採用しているクラレオン パンオプティクスのほかに、以下の製品があります。
また、3焦点眼内レンズに近い特性を持つ「連続焦点型」レンズとしては、
テクニス オデッセイがあります。
遠方に強い設計です。
約35cm の手元を重視した設計で、より近い距離での作業に適しています。
40~60cm の中間距離に強く、特にデスクワークなどで重要となる約60cm に焦点を合わせた設計です。
手元の見え方はやや劣るものの、手術費用を抑えたい方には、保険適用のある眼内レンズであるレンティス コンフォートや、強化型単焦点眼内レンズのテクニス アイハンスのご検討をおすすめします。

きくな湯田眼科
院長
センター北しみずアイクリニック
理事
妙蓮寺眼科
非常勤