クラレオン パンオプティクス プロとは?
白内障手術で注目のマイナーチェンジ多焦点レンズの実力
Clareon PanOptix Pro

概要

クラレオン パンオプティクス プロは、従来のクラレオン パンオプティクスを改良した新しいモデルです。
光のロスがさらに抑えられており、遠くや中間の見え方がよりクリアになっている可能性があります。
ただし、日本ではまだ未発売のため、現時点では詳細な臨床データや使用実績が限られています。今後の情報に注目が集まる多焦点眼内レンズの一つです。
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クラレオン パンオプティクス プロとは?

クラレオン パンオプティクス プロは、アルコン社が開発した3焦点眼内レンズ「クラレオン パンオプティクス」のマイナーチェンジモデルです。

従来モデルと同様に、遠方・中間距離(約60cm)・近方(約40cm)の3点に焦点を持つ回折型の三焦点構造を採用しており、基本的な光学コンセプトに大きな変更はありません。
日常生活における幅広い視距離での快適な見え方を追求する点はそのままに、さらに質の高い視機能を目指して改良が加えられています。

最大の改良点は、回折構造の最適化によって、多焦点眼内レンズで避けがたいとされてきた光の無駄なロス(光の散乱や非効率な透過)を大幅に低減している点です。
これにより、光利用効率は従来を上回る94% を達成し、光の散乱も6% に抑制されています。これは現在市場に存在する三焦点IOLの中でもトップレベルの性能といえます。

このように、クラレオン パンオプティクス プロは、従来の優れた視力回復機能を維持しながら、光学的なパフォーマンスを一段と向上させた「マイナーチェンジ」でありながら、視覚の質にこだわる患者様にとって非常に魅力的な選択肢となる製品です。

本製品は2025年5月よりアメリカで発売が開始されていますが、日本国内での販売は未定です。

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クラレオン パンオプティクス プロの特徴

光のロスが少ない ― 光利用効率の向上

従来のクラレオン パンオプティクスでは、眼内レンズに入った光のうち約12% がロス(無駄)として失われていました。
これは多焦点レンズ特有の回折構造によるもので、見え方に影響する場合もあります。

これに対し、新たに開発されたクラレオン パンオプティクス プロでは、光のロスがわずか6% に抑えられており、従来品と比べて約半分の光損失に改善されています。

この高い光利用効率により、より明るく自然な見え方が期待でき、日常生活での見え方の質が向上します。

遠方と中間距離のコントラスト感度が向上

"コントラスト"とは、物の輪郭や細かい部分がどれだけはっきり見えるかという視覚の質を示す指標です。
特に夜間や曇天、暗い室内などでは、このコントラスト感度が重要になります。

クラレオン パンオプティクス プロでは、光のロスを抑えることで有効光量が増え、さらに散乱していた光を有効に再配分する設計となっています。
その結果、遠方および中間距離におけるコントラスト感度が、従来モデルより16%向上していると報告されています。

この改良により、よりクリアでくっきりとした視界が得られやすく、たとえば運転時や会話相手の表情を見るときなど、さまざまな場面でその恩恵を実感できる可能性があります。

グレア・ハロー・スターバーストの軽減

多焦点眼内レンズにおいては、夜間のライトや光源がにじんで見えたり、光の輪(ハロー)や放射状の光(スターバースト)が見える現象が一定程度生じることがあります。
これらは「光の散乱」が主な原因とされています。

クラレオン パンオプティクス プロでは、光の散乱を抑制する回折構造の改良により、これらの異常光視現象(グレア・ハロー・スターバースト)の発生が軽減されると期待されています。

特に夜間の運転や暗所での活動時など、見え方の快適性が重要なシーンにおいて、患者様の満足度向上につながる要素といえるでしょう。

※レンズのより詳細な情報については、アルコン社の公式ホームページをご参照ください。

クラレオン パンオプティクス プロのデメリット
失敗・後悔しないためにも知っておくべきこと

レンズに関する情報がまだ十分に揃っていない

クラレオン パンオプティクス プロは、クラレオンシリーズの最新モデルとして2025年に登場したばかりの新しい眼内レンズです。

そのため、現時点では臨床的な有用性や長期的な見え方に関する詳細なデータは限られており、従来のクラレオン パンオプティクスと比較して「どの程度の改善が得られるのか」について、客観的に判断できる材料が不足している状況です。

なお、参考例として、他社のジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発した「テクニス オデッセイ」という多焦点眼内レンズは、従来の「テクニス シナジー」からの改良版とされていますが、改良によってグレアやハローの軽減、遠方視の質の向上は見られた一方で、手元の見え方についてはシナジーの方が優れていたとする報告もあります。

すべての改良が「全面的な上位互換」につながるとは限らない点には注意が必要です。

クラレオン パンオプティクス プロについても、今後の臨床データの蓄積と評価が待たれます。

多焦点眼内レンズに共通するデメリットは残る

クラレオン パンオプティクス プロは、従来品と比較して光のロスが少なく、構造上の改良によってコントラストや見え方の質が改善されているとされています。

しかし、それでも「多焦点眼内レンズ特有の光視症状(ハロー・グレア)」や「コントラスト感度の低下」が完全に消失するわけではありません。

このような見え方の特徴は、多焦点眼内レンズを使用する上で避けては通れない部分であり、患者様にはあらかじめ十分な説明と理解を得たうえで選択していただく必要があります。

手術費用に追加費用がかかる

クラレオン パンオプティクス プロは、現在(2025年5月時点)日本国内ではまだ販売されていませんが、販売開始後は他の多焦点眼内レンズと同様に「選定療養」の対象となる予定です。

この制度では、白内障手術自体には健康保険が適用されますが、使用する多焦点眼内レンズの費用については保険対象外となり、患者様に追加費用をご負担いただく必要があります。

最新の多焦点眼内レンズである本製品も、これまでと同様に一定の自己負担が生じることが予想されます。

クラレオン パンオプティクス プロは新しいレンズのため、まだ十分な情報が揃っていません。
今後、新しいデータや知見が明らかになり次第、随時このページもアップデートしていく予定です。

解説医師

湯田 健太郎
きくな湯田眼科
院長 湯田 健太郎

専門

網膜硝子体手術・白内障手術・ICL手術

所属

きくな湯田眼科

院長

センター北しみずアイクリニック

理事

妙蓮寺眼科

非常勤