横浜市港北区・菊名で、飛蚊症や網膜・硝子体疾患の診療を行う「きくな湯田眼科」の一般向け解説です。
結論:多くの飛蚊症は経過観察で問題ありません。一方、長期間続く強い飛蚊症で生活への支障が大きい場合は、硝子体手術で原因となる硝子体の濁りを取り除き、症状の改善を目指すことができます。
飛蚊症は「我慢するしかない」と思っていませんか?
視界に黒い点、糸くず、虫、クモの巣のようなものが動いて見える症状を「飛蚊症」といいます。眼科で診察を受けて「網膜には異常がありません。様子を見ましょう」と言われた経験がある方も少なくありません。
実際、多くの飛蚊症は病的なものではなく、時間とともに気になりにくくなるため、経過観察が基本です。
しかし、濁りが大きく視界の中央を動く、白い画面や青空で常に影が見える、読書やパソコン作業の妨げになるなど、生活への影響が強い場合には、硝子体手術という治療選択肢があります。
そもそも、なぜ飛蚊症が見えるのでしょうか?
眼球の中には「硝子体」と呼ばれる透明なゼリー状の組織があります。加齢などによって硝子体に線維状の濁りや塊が生じると、その影が網膜に映り、黒い点や糸くずのように感じます。
中高年では、硝子体が網膜から離れていく「後部硝子体剥離」に伴って、突然飛蚊症を自覚することもあります。近視が強い方では、比較的若い時期から後部硝子体剥離が起こることがあります。
飛蚊症は硝子体手術で改善を目指せます
硝子体手術では、眼球に非常に細い器具を挿入し、飛蚊症の原因となっている濁った硝子体を取り除きます。濁りそのものを眼内から除去するため、症状が強い方では見え方の改善が期待できます。
2022年に報告されたシステマティックレビューでは、18研究・2,077眼を解析し、硝子体手術後に90%以上の患者さんで症状の軽減または治療への満足が報告されました。
ポイント:硝子体手術は「飛蚊症を感じにくくする治療」ではなく、原因となる硝子体の濁りを眼内から取り除く治療です。
すべての飛蚊症に手術を行うわけではありません
飛蚊症が見えるという理由だけで、すぐに硝子体手術を行うわけではありません。多くの方では、時間の経過とともに濁りの位置が変わったり、脳が影に慣れたりすることで症状が気になりにくくなります。
手術を検討する際は、発症からの期間、濁りの大きさや位置、日常生活への影響、後部硝子体剥離の状態、網膜疾患の有無などを確認し、手術によるメリットとリスクを比較します。
どのような飛蚊症で手術を検討するのでしょうか?
例えば、次のような場合には硝子体手術について相談する価値があります。
- ・数か月以上たっても強い飛蚊症が続いている
- ・大きな濁りが視界の中央を頻繁に横切る
- ・読書やパソコン作業の妨げになっている
- ・白い壁や明るい場所で多数の影が見え、日常的なストレスが大きい
- ・症状が仕事や趣味など生活の質に明らかに影響している
重要なのは、飛蚊症が「あるか・ないか」だけではなく、実際にどの程度生活を妨げているかです。
硝子体手術にはリスクもあります
硝子体手術は眼球の内部を操作する手術であるため、合併症の可能性をゼロにはできません。
- ・網膜裂孔・網膜剥離
- ・白内障の進行(有水晶体眼)
- ・硝子体出血・黄斑浮腫
- ・眼圧上昇
- ・眼内炎などの感染症
2022年のシステマティックレビューでは、網膜裂孔・網膜断裂2.92%、網膜剥離1.54%、眼内炎0.18%などが報告されています。ただし、これは複数の年代・施設・術式をまとめた結果で、実際のリスクは年齢、眼の状態、手術方法などによって異なります。
そのため、強い症状で得られるメリットが手術リスクを上回ると考えられる方を慎重に選ぶことが重要です。
「急に飛蚊症が増えた」場合は、まず網膜の確認が必要です
飛蚊症の中には、単なる硝子体の濁りだけではなく、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血など、早期治療が必要な病気が隠れている場合があります。
特に次のような変化がある場合は、飛蚊症の手術を考える前に、早めの眼底検査が必要です。
- ・突然、黒い点や影の数が増えた
- ・光がピカピカ・稲妻のように見える
- ・視野の一部が欠ける
- ・黒いカーテンがかかったように見える
急性の後部硝子体剥離では網膜裂孔や網膜剥離を伴うことがあるため、散瞳したうえで網膜周辺部まで確認することが大切です。
横浜・菊名で強い飛蚊症にお悩みの方へ
きくな湯田眼科では、飛蚊症の原因を確認するため、硝子体・網膜の状態を詳しく診察し、網膜裂孔や網膜剥離などの病気が隠れていないかを確認します。
長期間続く強い飛蚊症で、仕事や読書、日常生活への支障が大きい場合には、眼の状態を確認したうえで硝子体手術を検討することができます。当院では飛蚊症を含む硝子体手術に対応しています。
「飛蚊症だから仕方がない」と諦める前に、まずはご自身の飛蚊症が経過観察でよいものなのか、治療を検討できるものなのかを確認することが大切です。
きくな湯田眼科:神奈川県横浜市港北区菊名4-3-11/東急東横線・JR横浜線「菊名駅」東口から徒歩1分
まとめ
- 多くの飛蚊症は経過観察が基本です
- 症状が強く生活への支障が大きい場合、硝子体手術で濁りを取り除く治療があります
- 手術後の症状改善・満足度は高いという研究報告があります
- 一方、網膜裂孔・網膜剥離などの合併症リスクもあるため、適応を慎重に判断します
- 突然飛蚊症が増えた場合は、まず網膜裂孔・網膜剥離の有無を確認することが重要です
参考文献・参考情報
1. Dysager DD, Koren SF, Grauslund J, et al. Efficacy and Safety of Pars Plana Vitrectomy for Primary Symptomatic Floaters: A Systematic Review with Meta-Analyses. Ophthalmol Ther. 2022;11(6):2225-2242. doi:10.1007/s40123-022-00578-9.
2. American Academy of Ophthalmology EyeWiki. Posterior Vitreous Detachment. (後部硝子体剥離に伴う網膜裂孔・網膜剥離の評価について)
3. きくな湯田眼科 公式サイト「硝子体手術をお考えの方へ」「白内障手術をお考えの方へ」
※本稿は一般向けの医学情報です。手術適応や治療内容は、眼の状態によって異なります。
