緑内障は、目の中の圧力(眼圧)により目の神経(視神経)に障害を来す疾患です。
緑内障では、必ずしも眼圧が高いとは限らず、実際には6割が正常の眼圧です。
成人の17人に1人は緑内障に罹患(りかん)していると言われています。
緑内障の危険因子としては近視、たばこ、動脈硬化などが上げられますが、血管調整障害の関与も指摘されております。
血管攣縮症候群では血管の自動調整が狂っていて局所的な血管攣縮を来しており、眼循環に関しても同様に血管攣縮により障害を受けると考えられています。
血管攣縮症候群の人は、若年、女性、頭脳労働者、勤勉で完全主義者が多いと言われています。
特徴としては手足が冷たく冷え性、機械的や心理的なストレスに過敏反応を示し手足や顔面が蒼白になりやすい、口渇を感じにくい、薬物に過敏に反応するなどの特徴があります。
手、目、心臓、耳の順で血管攣縮を起こしやすいです。
このような人は実際高率に緑内障に罹患します。
最近は健康診断で眼底カメラ撮影が行われ、緑内障患者の早期発見につながっています。
緑内障患者は徐々に進行する視神経障害により視野欠損を生じますが、視力は末期まで良好であるので、自覚症状に乏しく、気づいたときは手遅れということも多いです。
視野欠損があっても自覚することがほとんどない理由は、両眼視の場合片側の視野欠損が他眼で補われてしまうこと、また一つは大脳の補充機能により視野欠損が補われてしまうことに由来しています。
最近はTVコマーシャルなどで、いろいろな視野チャートやTV画面が日常に利用され、幸い早期発見につながったケースもあります。
しかし多くは人間ドックなどの検診での眼底検査での検出となります。
緑内障は全身疾患でもある訳で、全身的な管理を含めたバックアップが重要です。
また、緑内障の視神経は中央の白い部分(乳頭陷凹)が大きいというのも症状です。このような所見が検診時に認められたら、視野検査により神経障害の程度を判定いたします。
左から、緑内障初期、中期、後期。黒いところが見えてないところ。実際の景色は下の図のよう見えている筈ですが、脳は見えてない部分を補完する機能があり、患者は景色を見ても視野欠損に気づいておりません。
緑内障初期の見え方
開放隅角緑内障の治療は薬物療法が中心となります。薬物療法が困難な場合は、レーザー隅角形成術を行うこともあり、最近はSLTといって、組織障害を押さえて選択的に隅角を形成するレーザー術式が用いられるケースがあります。これらの治療で神経障害の進行を防ぐことができない場合は、手術的治療を行うことになりますが、手術後に視機能が改善することは期待できておりません。
緑内障につき正しいもの
線維柱帯組織にはステロイド受容体が発現していることは証明されており、ステロイドの作用はこの受容体を介して細胞レベルで起こっていることは確かであろうと思われます。
フランソワFrancoisはステロイドが細胞内ライソゾーム膜を安定化し、ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼの放出が出来なくなることから、高分子のヒアルロン酸が蓄積し、濾過機能が低下するというような説を唱えています。
また、線維柱帯組織を裏打ちしている内皮細胞は食作用を有し、房水中のデブリスを除去する効果を持っていますが、ステロイドがこの食作用を阻害し、線維柱帯にデブリスが沈着し濾過機能が低下することも考えられています。
培養線維柱帯組織にデキサメタゾンを作用させた実験がありますが、これによると細胞外基質の増加、プラスミノーゲン活性の低下、メタロプロテアーゼ活性の低下、アラキドン酸合成の阻害、食作用の低下などが見られており、上記の推定されたメカニズムを支持する結果となっています。
ステロイドの眼圧上昇効果はそのステロイド機能の強弱に関係しており、フルメトロンはデキサメタゾンより眼圧上昇効果は少ないことが知られていますが、眼圧上昇効果はありますので、定期的な眼圧の測定は必要です。
一般にステロイド誘発高眼圧はステロイドの使用を止めることにより、上昇した眼圧は低下します。慢性的な使用でしたら、眼圧低下までに4週を要することもあります。ただし、2%程度の頻度で眼圧が低下しない症例が認められます。(このような人の大半は家族歴で緑内障が見られます)
緑内障の症状で、眼科の名医をお探しの方やお困りの方、治療・手術をご希望の方は、神奈川県横浜市にある当病院へお気軽にお問合せ・ご来院ください。