加齢により物をよく見る網膜の黄斑部に変性を来す疾患。視力が極端に低下し、ものがゆがんで見えたり、見ようとする中心部が見えなくなったりします。徐々に進行します。時には、黄斑部からの出血により突然見えなくなります。よい治療法がないのが現状です。最も効果があると考えられているのは、特殊な色素を注入後レーザーを照射し異常な血管を閉塞させる光線力学療法ですが、今のところ著明な改善は見られていません。欧米並みの食生活が誘因の一つと考えられており、食生活の改善が必要です。
最近、血管内皮増殖因子(VEGFと言います)が黄斑部の新生血管形成に関係があることが分かり、VEGFを阻害する抗体が黄斑変性の治療に用いられるようになりました。現在用いられているものは、アバスチン、マクジェン、ルセンティスの3種類の抗VEGF抗体で、いずれも黄斑部新生血管の抑制や網膜のむくみにある程度の効果があります。厚労省の認可を受けているのはマクジェンとルセンティスですが、頻回の硝子体内への注射が必要で、高価なこともあり使い勝手の良いものとは言えません。